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冷媒配管施工の基本

1.冷媒配管を施工するときの注意は三つ

冷媒配管は、他の建築設備配管とは異なる特別な注意が必要である。この注意を怠るとトラブルの原因になる。

冷媒配管の施工に当たって、管内が「乾燥」・「清浄」・「気密」であることの3点に細心の注意を払う必要がある。これを冷媒配管施工3原則という。

1.1 乾燥

冷媒配管内に水分が入ると、冷媒液中で遊離した水分がろう付の隙間部分で低温時繰り返し氷結し、接合箇所が剥がれ漏れが生じる。また、冷媒の循環を妨げ冷凍装置の能力を低下させたり、冷凍機油の加水分解や劣化が促進され、圧縮機の絶縁不良の原因になったりする。また、空気が侵入すると、侵入した空気が油を酸化させるだけでなく、空気と一緒に水分も入って障害となる。このため配管材料の保管は、通気(呼吸)による結露防止のため必ず両端をキャップで塞いだり、雨天の配管工事は避けるなどの注意が必要である。

1.2 清浄

冷媒系統には、精密な機器や部品が使用されており、異物が入ると運転に支障が生じる。施工中は、切粉、ろう材、フラックス、ウエスの糸屑、酸化皮膜などが管内に入りやすいので注意が必要である。

1.3 気密

冷媒配管は、高圧ガスが充てんされているので気密であることが基本である。特に配管接続部に漏れがないか十分に確認する必要がある。

① 配管中にゴミや水分を入れないこと

●配管接続終了まで、配管開口部は厳重に蓋をすること。
●配管開口部はできるだけ横向きまたは下向きにすること。

 

② 雨の日の配管工事は、管端に必ずキャップを用いて行うこと。
③ 配管を直接地面に置かないこと。また、地面をこすらないこと。
④ 配管切断後のバリ取りは、配管を下向きにして行うこと。
⑤ 壁の貫通部に配管を通すときは、管端に必ずキャップを用いること。

2.配管施工の要求事項

 現地で冷媒配管を施工する場合は下記の事項に留意しなければならない。

① 高圧ガス保安法、同施工規則、冷凍保安規則及び関係基準に定められた技術上の基準に適合しなければならない。

  • 冷媒配管は装置の機能を阻害しないように潤滑油戻り、膨張、収縮及び振動を考慮し配管しなければならない。
  • 管は使用前に必ず内面を十分に清掃し、乾燥させる。清掃後は管端を適切な方法で塞ぎ、工事中に異物が侵入するのを防止する。
  • 取り外しの必要のある箇所にはフレア継手またはフランジ継手を使用する。但しフレア継手は外径05mm以下の管に使用する。フランジ継手には厚さ1.5mm以下の非石綿ジョイントシートをガスケットとして使用する。
  • 適切な箇所に支持金物を取り付ける。
  • 冷媒配管作業後、冷媒、冷凍機油を注入する前に必ず真空乾燥を行う。
  • 防火区画を貫通する冷媒配管の保温材は不燃材とし、不燃材で管周囲の隙間を埋める。

3.冷媒漏えい防止の考え方

冷凍空調機器の配管施工は、冷媒漏えい防止の観点で見ると、「配管接続部を少なくする」、「接続部は可能な限り溶接又はろう付を用いる」ことによって漏えいを極小とするのが望ましい。しかし、セパレート形機器で、ろう付作業が困難な箇所での接続、又は点検、修理のための取り外しを前提とする機能部品の取り付けなどは、配管継手を使わざるを得ないので、現地施工時の遵守事項を明示して関係者に知らせる必要がある。

4.安全衛生管理

冷媒は高圧ガスである。 誤った施工・整備をすると重大な事故が発生する可能性があり、以下のことに注意が必要である。

  • 空調機器の設置や移設の場合、表示されている冷媒以外のガスを絶対に使用しないこと。また、空気などの不凝縮ガスを混入させないこと。異なる冷媒や空気などが混入すると、冷凍装置が正常に機能しなくなり、最悪、冷媒系統内が異常となって破裂、けがなどの事故の原因となる。
  • 小部屋に機器を据え付ける場合は、万一冷媒が漏れても限界濃度(表1参照)を超えない対策が必要である。漏えいして限界濃度を超えると酸欠(酸素欠乏)事故の原因になる。 労働安全衛生規則第585条第1項第4号では、関係者以外の立ち入り禁止場所として、二酸化炭素濃度が1.5%を越える場所、酸素濃度が18%に満たない場所等を指定している。
  • 屋内作業中に冷媒が漏れた場合を考慮して、あらかじめ換気設備を用意して使用する。また、冷媒が火気に触れると有毒ガスが発生する原因になる。
  • 気密試験は、窒素などの不活性ガスを使用し、所定の圧力で実施すること。酸素やアセチレンガスなどを使用すると爆発の原因となるので絶対に使用しないこと。
  • 設置工事・移設再設置は据付説明書に従って確実に行い、機器類等の改造は絶対にしないこと。据付に不備があると冷凍装置の異常や水漏れ、感電、火災などの原因になる。

冷媒ガスの加害性の区分と限界濃度

冷媒ガス
の種鎖
加害性
の区分
限界濃度 冷媒ガス
の棰類
加害性
の区分
限界濃度
kg/m3 参考ppm kg/m3 參考ppm
R11 A1 0.3 50 000 R407B A1 0.35 83 000
R12 A1 0.5 100 000 R407C A1 0.31 87 000
R13 A1 0.5 100 000 R407D A1 0.41 110000
R13B1 A1 0.6 100 000 R407E A1 0.4 100 000
R22 A1 03 80 000 R410A A1 0.42 140 000
R23 A1 0.4 100 000 R410B A1 0.43 140 000
R114 A1 0.7 100 000 R413A A1/A2 0.08 20 000
R134a A1 0.25 60 000 R417A A1 0.15 34 000
R401A A1 0.3 80 000 R500 A1 0.4 100 000
R401B A1 0.34 89000 R502 A1 0.45 100 000
R402A A1 0.33 79000 R507A A1 0.49 120 000
R402B A1 0.32 82 000 R508A A1 0.22 53 000
R403B A1 0.41 96 000 R509A A1 0.56 110 000
R404A A1 0.48 120 000 R744
二酸化炭素
A1 0.07 40 000
R407A A1 0.33 89 000