【問題】
下記仕様の鋼板がある。この鋼板を用いて、屋外に設置して凝縮温度50℃で運転されるR410A用高圧受液器を設置したい。
ただし、R410A冷凍装置の基準凝縮温度50℃における高圧部設計圧力は2.96MPaを使用するものとする。
仕様; 使用鋼板 円筒胴に使用する鋼板の厚さ 鏡板に使用する鋼板の厚さ | SM400B \(t_{a1}=9 ㎜\) \(t_{a2}=9 ㎜\) |
(1) 設計可能な最大の円筒胴の外径\(D_{o}\)は何mmか。ただし、溶接効率は0.70とし、円筒胴の外径を整数値で求めよ。
(2) (1)で求めた円筒胴に取り付ける鏡板の形状は半球形とし、この鏡板には溶接継手はないものとする。これに板厚9㎜の鋼材を使用できるか否かを、必要板厚を計算して判断せよ。
(3) この高圧受液器に使用する板厚9㎜の半球形鏡板に内面に設計圧力2.96MPaが作用した場合、半球面の接線方向に誘起される引張応力\(σ_{t}(N/㎜^{2})\)はいくらか。ただし、引張応力の小数点以下1桁まで求めよ。
【解答】
(1) 設計可能な最大の円筒胴の外径\(D_{o}\)は何mmか。ただし、溶接効率は0.70とし、円筒胴の外径を整数値で求めよ。
問題の条件から
腐れしろ:\(α\) 許容引張応力:\(σ_{a}\) 溶接効率:\(η\) 円筒胴板厚:\(t_{a1}\) 設計圧力:\(P\) 円筒胴内径:\(D_{i}\) | 屋外設置だから\(α=1\) SM400Bだから\(σ_{a}=100 N/㎜^{2}\) \(η=0.7\) \(t_{a1}=9㎜\) \(P=2.96MPa\) |
円筒胴板厚を求めるには次の基本式を使用する。
\(P=\frac{\Large{2σ_{a}η(t_{a1}-α)}}{\Large{D_{i}+1.2(t_{a1}-α)}}\)
変形して、\(D_{i}\)を求める(変形過程省略)
\(D_{i}=\frac{\Large{(2σ_{a}η-1.2P)(t_{a1}-α)}}{\Large{P}}\)
\(D_{i}=\frac{\Large{(2・100・0.7-1.2・2.96)(9-1)}}{\Large{2.96}}=368.77837≒368 ㎜\)
外径\(D_{o}\)は\(D_{o}=D_{i}+2t_{a1}=368+2・9=386 ㎜\)
(2) (1)で求めた円筒胴に取り付ける鏡板の形状は半球形とし、この鏡板には溶接継手はないものとする。これに板厚9㎜の鋼材を使用できるか否かを、必要板厚を計算して判断せよ。
問題の鏡板仕様は
腐れしろ:\(α\) 全半球形に関する係数:W 溶接効率:\(η\) 鏡板板厚:\(t_{a}\) 設計圧力:\(P\) 鏡板半径:\(R\) 許容引張応力: | 屋外設置で \(α=1㎜\) とする W=1 溶接継手が無いので\(η=1\) \(P=2.96MP_{a}\) 鏡板外径が円筒胴外径と同じなので\(R=\frac{\Large{D_{o}-2t_{a}}}{\Large{2}}=184 ㎜\) SM400Bなので、\(σ_{a}=100N/㎜^{2}\)とする |
鏡板の最小必要板厚計算の次の基本式に数値を代入して
\(t_{a}=\frac{\Large{PRW}}{\Large{2σ_{a}η-0.2P}} +α\)
\(t_{a}=\frac{\Large{2.96・184・1}}{\Large{2・100・1-0.2・2.96}} +1=3.73128≒4\)
最小必要板厚は4㎜なので9㎜の板材利用可
(3) この高圧受液器に使用する板厚9㎜の半球形鏡板に内面に設計圧力2.96MPaが作用した場合、半球面の接線方向に誘起される引張応力\(σ_{t}(N/㎜^{2})\)はいくらか。ただし、引張応力の小数点以下1桁まで求めよ。
接線方向の引張応力を求める基本式は次の通り、
\(σ_{t}=\frac{\Large{PR}}{\Large{2t_{a2}}}\)だから
\(σ_{t}=\frac{\Large{2.96・184}}{\Large{2・9}}=30.2577≒30.3 N/㎜^{2}\)
次のテキストを参考にする方が良い