電気工事での事故とはどのようなものがあるでしょう
1.電線の絶縁不良や損傷による感電。
2.過電流による火災。
3.危険物(可燃性ガス、油)が存在する場所での電気スパークによる爆発・火災。
最も多い危険・・感電するのは次のようなケースが多い
(a)電気の通路に人体が触れ、人体で短絡 (ショート)して感電するもの。
(b)電気の通路に人体が触れた為、人体を通して大地に流れる電流で感電するもの。
(c)漏電状態にある電気機器に人体が触れ、人体を通して大地に流れる電流で感電するもの。
感電事故には次のような顕著な特徴があります
(a)死亡災害に至る比率が極めて高い。
全災害に対する死亡率 1.24%に対し感電災害に対する死亡率 約20.0%
(b)感電災害の発生率は夏場に集中する。低圧(直流750V以下・交流600V以下)
①作業着が薄着や半袖等肌の露出
②発汗による皮膚の電気抵抗低下、皮膚と充電部分との接触抵抗の低下。
感電電流と人体の生理反応
電流実効値[mA] | 使用時間 | 人体の生理反応 |
0~0.5 | 連続しても 危険でない |
電流を感知できない |
0.5〜5 | 連続しても 危険でない |
電流を感知し始め、けいれんを起さない限度である可随意電流 領域(接触状態から、自発的に離れることが可能であるが、指 腕などに痛みを感じる |
5〜30 | 数分間が限度 | 可随意電流領域(けいれんによって、接触状態から、自発的に 離れることが不可能となる)呼吸困難や血圧上昇が起こるが耐 えうる限度である |
30〜50 | 数秒から 数分まで |
心臓の鼓動が不規則となり、失神、血圧上昇、強いけいれん が起こる長時間では心室細動(心臓の筋肉が微細な振動をして、 血圧を循環させる機能を失い、死亡に至る)が発生する |
50〜数100 | 心臓の拍動周期 以下の場合 |
強烈なショックは受けるが、心室細動は発生しない |
拍動周期超過の 場合 |
心室細動が発生し、失神、接触部に電流こん跡が残る | |
数100超過 | 拍動周期以下の 場合 |
拍動周期以下の作用時間であっても、特定の拍動位相において 感電が開始した場合、心室細動が発生し、失神が起こり、接触 部に電流こん跡が残る |
拍動周期超過の 場合 |
心室細動は起こらず、回復性の心臓停止、失神が起こる 火傷により死亡する可能性がある |
電気工事を行う時の注意点
●服 装
●確認事項
●電気工事に必要な計測器類
事故例
事故例1.試運転時基板点検作業時、感電
基板調査終了時電源BOXの蓋が電源端子台に接触
原 因 | どうしたら防げたか |
活線作業元電源の遮断を怠った | 電源の遮断 禁止札の使用 検電 安全具の使用 ゴム手袋(600V以下) |
事故例2.新設工事の機内配線作業において感電
信号線接続作業時、電源線が邪魔なので移動させようと触った瞬間に。(電源線の機内引込は完了していた。(端子台へは未接続)、ブレーカーが投入されていた。)
原 因 | どうしたら防げたか |
電源元の未確認 検電の未実施 (検電器、テスター) 電源線端末の処理が不十分であった。 |
検電の実施
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検電器の正しい使い方
検電器の握り部をしっかりと持ち、対象検電部に当てます。被覆電線の上から検電するときは、検知部を十分に電線上に当てないと、心線と検知金具との間の静電容量が変わり、動作感度が鈍くなります
事故例3.試運転作業段取り中機器に触れ感電
配線被覆に傷が付いており機器に接触
原 因 | どうしたら防げたか |
・電源工事時の施工不良(電源接続作業中、 他配線に傷を付けた。)・ELB(漏電ブレーカー)の未設置 |
・絶縁測定 ・安全用具の使用(絶縁手袋 等) |
低圧回路の測定方法(絶縁抵抗計)
定格電圧が500V、又は250V/100Vのものを使用します。特に回路に半導体素子等が含まれている場合には250V又は、100V等の低い定格電圧の使用が推奨されています。〈表1〉
開閉器を開放し停電させ低圧回路の電線相互間および電線と対地間を測定します。低圧回路の絶縁抵抗値は電気設備技術基準により定められています。〈表2〉
〈表1〉定格測定電圧の使用例
定格 電圧 |
一般電気 | 電気設備・電路 |
安定電圧での絶縁測定 | 電話回線電路の絶縁測定 | |
25V 50V |
電話回線用機器および 防爆機器の絶縁測定 |
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100V 125V |
制御機器の絶縁測定 | 100V未満の低圧配電設備機器などの維持・管理のため の絶縁測定 |
250V | 低圧配電路・機器の 絶縁測定 |
200V未満の低圧配電設備機器などの維持・管理のため の絶縁測定 |
500V | 新設の配電線電路 絶縁測定 600V未満の回路 ・機器の絶縁測定 |
600V未満の低圧配電線および機器などの維持・管理の ための絶縁測定 100V・200V・400V配電路の工事の絶縁測定 |
1000V | 600Vを超える回 路・機器の絶縁測定 (一般) |
常時使用電圧の高い高電圧設備(高圧ケーブル、高電圧機 器、高電圧を使用する通信機器、電路など)の絶縁測定 |
〈表2〉低圧電路における絶縁抵抗値
電路の使用電圧区分 | 絶縁抵抗値 | |
300V 以下 |
対地電圧(接地式電路においては電線と大地との間の電圧、 非接地式電路においては電線間の電圧をいう)が150V 以下の場合 |
0.1MΩ |
その他の場合 | 0.2MΩ | |
300Vを超えるもの | 0.4MΩ |
事故例4.設備用パッケージエアコンファン洗浄作業時、感電
本体内部に別売の電気ヒーターが組み込まれており、サービス時に両電源が切られていることの確認を怠ったので、電気ヒーター充電露出部にさわった
原 因 | どうしたら防げたか |
サービス時に、エアコン本体の手元開 閉器のOFF確認はしたが、電気ヒーター 手元開閉器のOFF確認を忘れた |
注)圧縮機クランクケースヒーター電源が単独の |
事故例5.空調機設置のため、RC貫通作業時、全館が停電
コンクリートに埋設されていた活線を切断した。
原 因 | どうしたら防げたか |
RC貫通対象壁には活線がないと過信したため |
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絶対必要な計器類
メタルスキャナー
メタルセンサードラム
検電器
レントゲン撮影写真
事故例6.電源線撤去をしようとした時にメインブレーカーが作動した
ブレーカー上部に電源線一次側が接続されていると思い込みブレーカーOFF後、電源線撤去をしようとした時にショートし動力盤のメインブレーカーが作動した
原 因 | どうしたら防げたか |
二次側は必ずブレーカー下部に接続されている という思い込み |
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事故例7. MgSWに引火し発火
MgSWの接点荒れによる過電流異常があり、接点を擦り合わせ等にて調整。まだ異音がある為潤滑スプレーを噴霧。作動確認時にスプレーオイルに引火し発火。
原 因 | どうしたら防げたか |
MgSWの接点励磁の際には火花が発生するのは当然。 |
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