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例題5(R410A冷凍装置高圧受液器の製作-2)

   

問題】下記仕様の鋼板がある。この鋼板を用いて、屋外に設置して凝縮温度50℃で運転されるR410A用高圧受液器を設置したい。
ただし、R410A冷凍装置の基準凝縮温度50℃における高圧部設計圧力は2.96MPaを使用するものとする。

仕様;
使用鋼板
円筒胴に使用する鋼板の厚さ
鏡板に使用する鋼板の厚さ


SM400B

\(t_{a1}=9 ㎜\)
\(t_{a2}=9 ㎜\)

(1) 設計可能な最大の円筒胴の外径\(D_{o}\)は何mmか。ただし、溶接効率は0.70とし、円筒胴の外径を整数値で求めよ。

(2) (1)で求めた円筒胴に取り付ける鏡板の形状は半球形とし、この鏡板には溶接継手はないものとする。これに板厚9㎜の鋼材を使用できるか否かを、必要板厚を計算して判断せよ。

(3) この高圧受液器に使用する板厚9㎜の半球形鏡板に内面に設計圧力2.96MPaが作用した場合、半球面の接線方向に誘起される引張応力\(σ_{t}(N/㎜^{2})\)はいくらか。ただし、引張応力の小数点以下1桁まで求めよ。


解答
(1) 設計可能な最大の円筒胴の外径\(D_{o}\)は何mmか。ただし、溶接効率は0.70とし、円筒胴の外径を整数値で求めよ。

問題の条件から

腐れしろ:\(α\)
許容引張応力:\(σ_{a}\)
溶接効率:\(η\)
円筒胴板厚:\(t_{a1}\)
設計圧力:\(P\)
円筒胴内径:\(D_{i}\)

屋外設置だから\(α=1\)
SM400Bだから\(σ_{a}=100 N/㎜^{2}\)
\(η=0.7\)
\(t_{a1}=9㎜\)
\(P=2.96MPa\)

円筒胴板厚を求めるには次の基本式を使用する。

\(P=\frac{\Large{2σ_{a}η(t_{a1}-α)}}{\Large{D_{i}+1.2(t_{a1}-α)}}\)

変形して、\(D_{i}\)を求める(変形過程省略)

\(D_{i}=\frac{\Large{(2σ_{a}η-1.2P)(t_{a1}-α)}}{\Large{P}}\)

\(D_{i}=\frac{\Large{(2・100・0.7-1.2・2.96)(9-1)}}{\Large{2.96}}=368.77837≒368 ㎜\)

外径\(D_{o}\)は\(D_{o}=D_{i}+2t_{a1}=368+2・9=386 ㎜\)

(2)  (1)で求めた円筒胴に取り付ける鏡板の形状は半球形とし、この鏡板には溶接継手はないものとする。これに板厚9㎜の鋼材を使用できるか否かを、必要板厚を計算して判断せよ。

問題の鏡板仕様は

腐れしろ:\(α\)
全半球形に関する係数:W
溶接効率:\(η\)
鏡板板厚:\(t_{a}\)
設計圧力:\(P\)
鏡板半径:\(R\)
許容引張応力:

屋外設置で  \(α=1㎜\) とする
W=1
溶接継手が無いので\(η=1\)

\(P=2.96MP_{a}\)
鏡板外径が円筒胴外径と同じなので\(R=\frac{\Large{D_{o}-2t_{a}}}{\Large{2}}=184 ㎜\)
SM400Bなので、\(σ_{a}=100N/㎜^{2}\)とする

鏡板の最小必要板厚計算の次の基本式に数値を代入して

\(t_{a}=\frac{\Large{PRW}}{\Large{2σ_{a}η-0.2P}} +α\)

\(t_{a}=\frac{\Large{2.96・184・1}}{\Large{2・100・1-0.2・2.96}} +1=3.73128≒4\)

最小必要板厚は4㎜なので9㎜の板材利用可

(3) この高圧受液器に使用する板厚9㎜の半球形鏡板に内面に設計圧力2.96MPaが作用した場合、半球面の接線方向に誘起される引張応力\(σ_{t}(N/㎜^{2})\)はいくらか。ただし、引張応力の小数点以下1桁まで求めよ。

接線方向の引張応力を求める基本式は次の通り、

\(σ_{t}=\frac{\Large{PR}}{\Large{2t_{a2}}}\)だから

\(σ_{t}=\frac{\Large{2.96・184}}{\Large{2・9}}=30.2577≒30.3 N/㎜^{2}\)

次のテキストを参考にする方が良い