【問題】
R22コンパウンド圧縮機を用いた二段圧縮一段膨張冷凍装置を、下記の冷凍サイクルの条件で運転する。
ただし、圧縮機の機械的摩擦損失仕事は熱として冷媒に加わるものとする。また、配管での熱の出入りはないものとする。
【冷凍サイクルの運転条件】 | |
冷凍能力 | Φ_{o}=60kW |
低段側圧縮機吸込み蒸気の比エンタルピー | h_{1}=397 kJ/㎏ |
低段側圧縮機吸込み蒸気の比体積 | v_{1}=0.22 m3/㎏ |
理論断熱圧縮後の低段側圧縮機吐出しガスの比エンタルピー | h_{2}=439 kJ/㎏ |
高段側圧縮機吸込み蒸気の比エンタルピー | h_{3}=414 kJ/㎏ |
高段側圧縮機吸込み蒸気の比体積 | v_{3}=0.05 m3/㎏ |
理論断熱圧縮後の高段側圧縮機吐出しガスの比エンタルピー | h_{4}=439 kJ/㎏ |
中間冷却器用膨張弁直前の液の比エンタルピー | h_{5}=246 kJ/㎏ |
【圧縮機の効率】 | |
低段側と高段側の気筒数比 | a=3 |
体積効率(低段側、高段側とも) | η_{v}=075 |
断熱効率(低段側、高段側とも) | η_{c}=0.70 |
機械効率(低段側、高段側とも) | η_{m}=0.90 |
1.低段側冷媒循環量q_{mro}(kg/sec)と高段側冷媒循環量q_{mrk}(kg/sec)との比q_{mro}/q_{mrk}は ?
2.蒸発器入口の冷媒の比エンタルピーh_{8}(kJ/kg) は?
3.コンパウンド圧縮機の実際の駆動軸動力P(kW) は?
【解答】
いつものように、p-h線図と冷媒の流れ概略図は次のようになる


1.低段側冷媒循環量q_{mro}(kg/sec)と高段側冷媒循環量q_{mrk}(kg/sec)との比q_{mro}/q_{mrk}は ?
一般的にピストン押しのけ量(V)、冷媒循環量(q)、体積効率( η_{v})、比体積(v)の関係式は
V×η_{v}=q×v だから
V_{L}=\frac{q_{mro}×v_{1}}{η_{v}} V_{H}=\frac{q_{mrk}×v_{3}}{η_{v}}
さて、気筒数比(a)は3なので
3=\frac{V_{L}}{V_{H}}=\frac{\frac{q_{mro}×v_{1}}{η_{v}} }{\frac{q_{mrk}×v_{3}}{η_{v}} }=\frac{q_{mro}×v_{1} }{q_{mrk}×v_{3}}
変形するとq_{mro}/q_{mrk}は
3×\frac{v_{3}}{v_{1}}=3×\frac{0.05}{0.22}=0.6818≒0.682
2.蒸発器入口の冷媒の比エンタルピーh_{8}(kJ/kg) は?
中間冷却器の熱収支を見ると
q_{mrk}・h_{5}+q_{mro}・\color{red}{h’}_{\color{red}{2}}=q_{mrk}・h_{3}+q_{mro}・h_{7}
ここで、\color{red}{h’_{2}}を使用していることに注意する。変形すると
q_{mro}(\color{red}{h’}_{\color{red}{2}}-h_{7})=q_{mrk}(h_{3}-h_{5})
さらに次のように変形する(値は前問の解答から0.682である)
\frac{q_{mro}}{q_{mrk}}=0.682=\frac{h_{3}-h_{5}}{h’_{2}-h_{7}} A式
さて、h_{7}とh_{8}は同じだから\color{red}{h’_{2}}を求めればh_{8}が求められる
\color{red}{h’_{2}}は次の式から求められる
h’_{2}=h_{1}+\frac{h_{2}-h_{1}}{η_{c}・η_{m}}=397+\frac{439-397}{0.7・0.9}=463.6666≒463.7
上のA式に代入してh_{7}は217.3 (kJ/kg)
この問題の解説は次の「上級冷凍受験テキスト」を参考にしました
3.コンパウンド圧縮機の実際の駆動軸動力P(kW) は?
P=P_{L}+P_{H}(低段側動力と高段側動力の合計)
P_{L}とP_{H}は次の通り
P_{L}=\frac{q_{mro}(h_{2}-h_{1})}{η_{c}・η_{m}} P_{H}=\frac{q_{mrk}(h_{4}-h_{3})}{η_{c}・η_{m}} \color{red}{B式}
Φ_{o}=q_{mro}(h_{1}-h_{8}) q_{mro}=\frac{Φ_{o}}{h_{1}-h_{8}}=\frac{60}{397-217.3}≒0.3339
\frac{q_{mro}}{q_{mrk}}=0.6818 q_{mrk}=\frac{q_{mro}}{0.6818}≒0.4897
上のB式に数値を代入すると
P_{L}=22.26 P_{H}=19.43253968
P=P_{L}+P_{H}=41.6925368≒41.7 (kW)
お疲れ様でした
何はともあれ、やはり中間冷却器の熱収支が大事です