問題 9
交流送電方式と比較した直流送電方式の特徴に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
a | 高電圧・大電流の遮断が容易に行える |
b | 電力潮流の制御が迅速、かつ容易に行える |
c | ケーブル送電の場合は、誘電体損失を考慮する必要がない |
d | 大電力の長距離送電に適している |
解答 a
直流送電方式
【長所】
①長距離、大電力送電時のリアクタンスの影響がないので、電線の許容電流の限度まで送電できる。
②直流では無効電流がないので、交流送電のように充電系統の補償が不必要である。また、誘電体損がなく、海底ケーブルなど長距離の電力ケーブルの使用に向いている。(誘電体は絶縁物のこと)
③交流電圧の最大値は、実効値の倍で、直流は最大値と実効値は同じである。直流電圧は交流電圧の実効値と同一であるが、絶縁耐力は最大値で決まるので、交流より小さい絶縁でよい。また、コロナ損も少ない。
④充電電流が流れない。
⑤異周波数交流の連係ができる。
⑥導体は基本的に2条でよく、大地を帰路とする場合は1条でよいので送電線路の建設費が安い。
⑦表皮効果を生じないため、電力損失が小さい。
【短所】
①送受電端に交流-直流変換装置が必要である。また、受電端に負荷(交流)の無効電力を供給するための調相機(同期機)、電力コンデンサなどの無効電力源が必要となる。
②交流-直流電力変換装置から発生する高調波・高周波による障害への対策が必要である。また、漏れ電流による地中埋設物の電食対策も必要である。漏れ電流などによる地中埋設物に対する電食問題が生じる。
③変換装置に高調波が発生するので、高調波障害対策が必要となる。
④直流電流では電流零点がないため、大電流の遮断が難しい。また、絶縁については、公称電圧値が同じであれば、一般に交流電圧より絶縁距離が短くなる。高電圧、大電流の直流遮断は相当困難なので、系統構成の自由度が低い。
⑤大地帰路方式の場合は電食を起こす。なお、直列リアクトルは脈動分を滑らかにするためのものである。また、無効電力供給設備は、交流負荷に対する無効電力を供給するためのものである。
以上の特徴より、「a」が不適当
問題 10
照明に関する用語の記述として、不適当なものはどれか
a | 照度とは、光を受ける面の単位面積当たりに入射する光束をいう |
b | 輝度とは、光源からある方向に向かう光束の、単位立体角当たりの割合をいう |
c | 光束とは、光源の放射束のうち、人の目に光として感じるエネルギーをいう |
d | 光束発散度とは、光を発生又は反射している物体の単位面積から発散する光束の量をいう |
解答 b
「b」が不適当
問題 11
シリコン太陽電池に関する記述として、最も不適当なものはどれか
a | シリコン太陽電池は、p 形半導体と n 形半導体を接合した構造となっている |
b | シリコン太陽電池は、半導体の接合部に光が入射したときに起こる光起電力効果を利用している |
c | シリコン太陽電池は、表面温度が高くなると最大出力が低下する温度特性を有している |
d | 多結晶シリコン太陽電池は、単結晶シリコン太陽電池に比べて変換効率が高い |
解答 d
太陽電池のしくみ
太陽電池は、太陽の光エネルギーを吸収して直接電気に変えるエネルギー変換素子で、シリコンなどの半導体で作られており、この半導体に光が当たると、日射強度に比例して発電します。
「電池」という名前がついていますが、電気をためる機能はありません。
現在最も多く使われている太陽電池は、シリコン系太陽電池です。この太陽電池では、電気的な性質の異なる2種類(p型、n型)の半導体を重ね合わせた構造をしています。
太陽電池に太陽の光が当たると、電子(-)と正孔(+)が発生し、正孔はp型半導体へ、電子はn型半導体側へ引き寄せられます。このため、表面と裏面につけた電極に電球やモータのような負荷をつなぐと電流が流れ出します。
変換効率とは
変換効率とは、太陽電池に入射した光のエネルギーのうち電気エネルギーに変換した割合を表す数値で、下記の式で求める。
\(変換効率=\frac{\large{出力電気エネルギー}}{\large{入射する太陽光エネルギー}}×100\)(%)
太陽電池モジュール1m2当り、1kWの光エネルギーを何%電気エネルギーに変換できるかを表します。
(たとえば、変換効率が20%とは、晴天時の地上で1kW/m2のエネルギー(日射強度の標準)があり、このエネルギーを1m2の太陽電池に照射したとき、太陽電池の発電電力が200Wとなることを意味します)
多結晶シリコン太陽電池の特徴
多結晶シリコン太陽電池は、シリコン半導体を使用したpn接合型太陽電池であり、基本的な原理や構造は単結晶シリコン太陽電池と同じですが、原材料に単結晶シリコンではなく多結晶シリコンを使用する点が異なります。
原料となる多結晶シリコンが、多数の単結晶シリコンの断片からできているため、多結晶シリコン太陽電池セルはまだら模様の外観をしています。
[長所]
●製造コストが安価
多結晶シリコン太陽電池の原材料となる多結晶シリコンは、単結晶シリコンの断片を溶解し鋳型内で冷却するキャスト法を用いて製造されます。このキャスト法で作られる多結晶シリコンのインゴットは、結晶成長工程が必要な単結晶シリコンのインゴットと比べ製造コストを安価に抑えることができます。
●原料コストが安価
原料となる単結晶シリコンの断片は、単結晶シリコンインゴットの端部などを再利用できることから原料コストも安く抑えることが可能です。
●単結晶シリコン太陽電池と同等の耐久性・信頼性を持つ
[短所]
原材料となる多結晶シリコンが多くの単結晶シリコンの断片で構成されている為、単結晶と単結晶の接する個所に結晶粒界という接合面を持ち、この結晶粒界における構造欠陥の影響で単結晶シリコン太陽電池よりも変換効率が低くなる
以上の特徴より、「d」が不適当