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p-h線図例題4 二段圧縮一段膨張

   

問題R410Aを冷凍とする二段圧縮一段膨張の冷凍装置を、下記の冷凍サイクルの運転条件で運転する。

 ただし、圧縮機の機械的摩擦損失仕事は吐出しガスに熱として加わるものとする。また、配管での熱の出入りおよび圧力損失はないものとする。

【理論冷凍サイクルの運転条件】  
低段圧縮機吸込み蒸気の比エンタルピー \(h_{1}\)=422 kJ/㎏
低段圧縮機吸込み蒸気の比体積 \(v_{1}\)=0.143 m3/㎏
低段圧縮機の断熱圧縮後の吐出しガスの比エンタルピー \(h_{2}\)=458 kJ/㎏
高段圧縮機吸込み蒸気の比エンタルピー \(h_{3}\)=436 kJ/㎏
高段圧縮機吸込み蒸気の比体積  \(v_{3}\)=0.050 m3/㎏
高段圧縮機の断熱圧縮後の吐出しガスの比エンタルピー \(h_{4}\)=477 kJ/㎏
中間冷却器用膨張弁直前の液の比エンタルピー \(h_{5}\)=240 kJ/㎏
蒸発器用膨張弁直前の液の比エンタルピー \(h_{7}\)=220 kJ/㎏
【実際の冷凍装置の運転条件】  
低段側ピストン押しのけ量 \(V_{L}\)=64 m3/h
高段側ピストン押しのけ量 \(V_{H}\)=30 m3/h
体積効率(低段側、高段側とも) \(η_{v}\)=0.75
断熱効率(低段側、高段側とも) \(η_{c}\)=0.70
機械効率(低段側、高段側とも) \(η_{m}\)=0.85

1.凝縮器の冷媒循環量\(q_{mrk}\)(kg/s)を求めよ。

2.実際の中間冷却器へのバイパス冷媒循環量\(q’_{mro}\)(kg/s)と蒸発器の冷媒循環量\(q_{mro}\)(kg/s)との比(\(q’_{mro}\)/\(q_{mro}\))を求めよ。

3.実際の冷凍装置の成績係数(COP)Rを求めよ。


まず、p-h線図と機器相互の冷媒の流れ概略図を次のように書く

1.凝縮器の冷媒循環量\(q_{mrk}\)(kg/s)を求めよ

凝縮器の冷媒循環量\(q_{mrk}\)を求めるためには次の基本公式を利用します。

\(V・η_{v}=q_{mr}\)

\(V\)  : ピストン押しのけ量[m3/s]

\(q_{mr}\) : 冷媒循環量[㎏/s]

\(η_{v}\)  : 体積効率

\(v\)  : 比体積[m3/㎏]

この式を問題の凝縮器の場合に変形すると
$$q_{mrk}=\frac{V_{H}・η_{v}}{v_{3}}$$
ただし、問題の\(V_{H}\)はm3/hだからm3/secに直すと
$$q_{mrk}=\frac{\frac{V_{H}}{3600}・η_{v}}{v_{3}}$$
この式に数値を代入すると

$$q_{mrk}=\frac{\frac{30}{3600}・0.75}{0.050}=0.125[㎏/sec]$$

2.実際の中間冷却器へのバイパス冷媒循環量\(q’_{mro}\)(kg/s)と蒸発器の冷媒循環量\(q_{mro}\)(kg/s)との比(\(q’_{mro}/q_{mro})\)

\(q_{mrk}=q_{mro}+q’_{mro}\)から
$$\frac{q’_{mro}}{q_{mro}}=\frac{q_{mrk}-q_{mro}}{q_{mro}}$$
整理変形すると
$$\frac{q’_{mro}}{q_{mro}}=\frac{q_{mrk}}{q_{mro}}-1$$
さて、前問題で\(q_{mrk}\)は0.125である。あとは\(q_{mro}\)を次の式で求めれば良い
$$q_{mro}=\frac{\frac{V_{L}}{3600}・η_{v}}{v_{1}}$$
数値を代入すると

$$q_{mro}=\frac{\frac{64}{3600}・0.75}{0.143}=0.09324 となる$$

そこで
$$\frac{q’_{mro}}{q_{mro}}=\frac{0.125}{0.09324}-1≒0.34$$

 

この問題の解説は次の「上級冷凍受験テキスト」を参考にしました

3.実際の冷凍装置の成績係数(COP)Rを求めよ。

二段圧縮の成績係数を求める式は次の通り
$$(COP)R=\frac{Φ_{O}}{P}=\frac{Φ_{O}}{P_{L}+P_{H}}$$
ここで
$$Φ_{O}=q_{mro}(h_{1}-h_{7})$$$$P_{L}=q_{mro}(h’_{2}-h_{1})$$$$P_{H}=q_{mrk}(h’_{4}-h_{3})$$

$$q_{mrk}=0.125[㎏/sec] 1の問題解答から$$

$$\frac{q’_{mro}}{q_{mro}}≒0.34 2の問題解答から$$
さて、これらを用いて上記(COP)Rの式を次のように変形します。

$$(COP)R=\frac{q_{mro}(h_{1}-h_{7})}{q_{mro}(h’_{2}-h_{1})+q_{mrk}(h’_{4}-h_{3})}$$

さらに変形すると

$$(COP)R=\frac{h_{1}-h_{7}}{(h’_{2}-h_{1})+\frac{q_{mrk}}{q_{mro}}(h’_{4}-h_{3})}$$

次に不明な \(h’_{2}\)と\(h’_{4}\)を求めます。
$$h’_{2}=h_{1}+\frac{h_{2}-h_{1}}{η_{C}・η_{m}}$$
数値を代入すると
$$h’_{2}=422+\frac{458-422}{0.7×0.85}=482.5$$$$h’_{4}=h_{3}+\frac{h_{4}-h_{3}}{η_{C}・η_{m}}$$
数値を代入すると
$$h’_{4}=436+\frac{477-436}{0.7×0.85}=504.91$$
これですべての数値が判りましたので
$$(COP)R=\frac{h_{1}-h_{7}}{(h’_{2}-h_{1})+\frac{q_{mrk}}{q_{mro}}(h’_{4}-h_{3})}$$
に代入して計算すると (COP)R=1.32

以上で終わり