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p-h線図例題6 二段圧縮二段膨張

   

問題R404Aを冷媒とする二段圧縮二段膨張の冷凍装置を、下記の冷凍サイクルの条件で運転する。
ただし、圧縮機の機械的摩擦損失仕事は熱となって冷媒に加わるものとする。 また、 配管での熱の出入りはないものとする。

【冷凍サイクルの運転条件】  
低段圧縮機吸込み蒸気の比エンタルピー \(h_{1}\)=358 kJ/㎏
低段圧縮機の断熱圧縮後の吐出しガスの比エンタルピー \(h_{2}\)=384 kJ/㎏
高段圧縮機吸込み蒸気の比エンタルピー \(h_{3}\)=361 kJ/㎏
高段圧縮機の断熱圧縮後の吐出しガスの比エンタルピー \(h_{4}\)=390 kJ/㎏
第一膨張弁直前の液の比エンタルピー \(h_{5}\)=240 kJ/㎏
第二膨張弁直前の液の比エンタルピー \(h_{7}\)=200 kJ/㎏
低段圧縮機の断熱効率 \(η_{cL}\)=0.70
低段圧縮機の機械効率 \(η_{mL}\)=0.90
高段圧縮機の断熱効率 \(η_{cH}\)=0.75
高段圧縮機の機械効率 \(η_{mH}\)=0.90
冷凍能力
\(Φ_{o}\)=110 kW

1.蒸発器の冷媒循環量\(q_{mL}\) (kg/sec)は?

2.中間冷却器の必要冷却能力の\(Φ_{m}\)(kW)は?

3.高段側の冷媒循環量\(q_{mH}\) (kg/sec)は?

4.総圧縮軸動力\( P\)(kW)は?


まずp-h線図と冷媒流れ概略図を下記の通り書く

中間冷却器付記の図を詳しく書くと次のようになる

 

1.蒸発器の冷媒循環量\(q_{mL}\)は?

冷凍能力と蒸発器冷媒循環量の関係式は
$$Φ_{O}=q_{mL}(h_{1}-h_{8}) だから$$

$$q_{mL}=\frac{Φ_{O}}{h_{1}-h_{8}}=\frac{110}{358-200}≒0.696 [㎏/sec]$$

2.中間冷却器の必要冷却能力の\(Φ_{m}\)(kW)は?

$$Φ_{m}=q’_{mL}(h_{3}-h_{6})$$$$q_{mH}=q’_{mL}+q_{mL}$$
まず上の中間冷却器付記の図から中間冷却器の熱収支の関係式を考える(熱収支だから入るもの、出るもの)と

$$q_{mH}・h_{6}+q_{mL}・h’_{2}=q_{mL}・h_{7}+q_{mH}・h_{3}$$

変形すると
$$q_{mL}(h’_{2}-h_{7})=q_{mH}(h_{3}-h_{6})$$$$q_{mH}=q_{mL}×\frac{h’_{2}-h_{7}}{h_{3}-h_{6}}$$
ここで不明な\(h’_{2}\)を求めておきます

$$h’_{2}=h_{1}+\frac{h_{2}-h_{1}}{η_{cL}・η_{mL}}=358+\frac{384-358}{0.7×0.9}≒399.27$$

それでは\(q_{mH}\)を計算します

$$q_{mH}=q_{mL}×\frac{h’_{2}-h_{7}}{h_{3}-h_{6}}=0.696×\frac{399.27-200}{361-240}≒1.146 {㎏/sec}$$
$$q’_{mL}=q_{mH}-q_{mL}=1.146-0.696=0.45$$

ですので最初の式を計算します

$$Φ_{m}=q’_{mL}(h_{3}-h_{6})=0.45×(361-240)=54.45 [kW]$$

 

この問題の解説は次の「上級冷凍受験テキスト」を参考にしました

3.高段側の冷媒循環量\(q_{mH}\) (kg/sec)は?

$$q_{mH}=q’_{mL}+q_{mL} で$$
\(q_{mL}\)は問1で0.696  [㎏/sec] \(q’_{mL}\)は問2で0.45[㎏/sec]であるから、簡単に\(q_{mH}\)は1.146[㎏/sec]になる

4.総圧縮軸動力 \(P\)(kW)は?

$$P=P_{L}+P_{H} が成立する$$
また、

$$P_{L}=q_{mL}×\frac{h_{2}-h_{1}}{η_{cL}・η_{mL}}  P_{H}=q_{mH}×\frac{h_{4}-h_{3}}{η_{cH}・η_{mH}}$$
$$P_{L}=q_{mL}×\frac{h_{2}-h_{1}}{η_{cL}・η_{mL}}=0.696×\frac{384-358}{0.7・0.9}≒28.72$$
$$P_{H}=q_{mH}×\frac{h_{4}-h_{3}}{η_{cH}・η_{mH}}=1.146×\frac{390-361}{0.75・0.9}≒49.24$$

あとは合計してください

以上で終わり