【問題】アンモニアを冷媒とする蒸発温度の異なる2台の蒸発器を1台の圧縮機で冷却する冷凍装置は、下図のとおりである。
この装置において、蒸発器Ⅰを流れる流量(kg/sec)と蒸発器Ⅱを流れる流量(kg/sec)の比は1:1である。この装置の冷凍サイクルの運転条件と圧縮機の効率は、下記のとおりである。ただし、配管での熱の出入りはないものとする。
【全負荷時の運転条件】 | |
圧縮機断熱圧縮後の吐出しガスの比エンタルピー | \(h_{2}\)=1830 kJ/㎏ |
膨張弁直前の比エンタルピー | \(h_{3}\)=510 kJ/㎏ |
蒸発器Ⅰの出口冷媒の比エンタルピー | \(h_{5}\)=1610 kJ/㎏ |
蒸発器Ⅱの出口冷媒の比エンタルピー | \(h_{8}\)=1590kJ/㎏ |
圧縮機吸込み蒸気の比体積 | \(v_{1}\)=0.4m3 /㎏ |
圧縮機の押しのけ量 | \(V\)=360m3 /h |
【圧縮機の効率】 | |
体積効率 | \(η_{v}\)=0.8 |
断熱効率 | \(η_{c}\)=0.7 |
機械効率 | \(η_{m}\)=0.9 |
1.凝縮器を流れる実際の冷媒循環量\(q_{mr}\)(kg/sec) は?
2.蒸発器Ⅰと蒸発器Ⅱの合計の実際の冷凍能力\(Φ_{o}\)(kW) は?
3.圧縮機の実際の圧縮軸動力\(P\)(kW)は?
4.実勢の成績係数(COP)R は?
p-h線図は次のようになる
1.凝縮器を流れる実際の冷媒循環量\(q_{mr}\)(kg/sec) は?
一般的に次の関係が成り立つ
冷媒循環量=\(\frac{圧縮機の押しのけ量×体積効率}{圧縮機吸込み蒸気の比体積}\)
この問題の場合は次のようになる(ただし、単位はm3/secに変換する)
2.蒸発器Ⅰと蒸発器Ⅱの合計の実際の冷凍能力\(Φ_{o}\)(kW) は?
冷凍能力\(Φ_{o}\)は蒸発器Ⅰの冷凍能力(\(Φ_{1}\))と蒸発器Ⅱの冷凍能力(\(Φ_{2}\))の合計である
\(q_{mr1} : q_{mr2}=1:1\) だから
\(Φ_{o}=Φ_{1}+Φ_{2}\)だから(また、\(h_{3}=h_{4}=h_{7}\))
この問題の解説は次の「上級冷凍受験テキスト」を参考にしました
3.圧縮機の実際の圧縮軸動力\(P\)(kW)は?
圧縮機動力 \(P=q_{mr}×\frac{h_{2}-h_{1}}{η_{c}×η_{m}}\) (A式)
圧縮機に入る前の熱バランスは \(q_{mr}・h_{1}=q_{mr1}・h_{6}+q_{mr2}×h_{8}\)
\(q_{mr1}=q_{mr2}=\frac{q_{mr}}{2}\) だから上の式は次のように変形できる
\(h_{1}=\frac{h_{6}+h_{8}}{2}=\frac{h_{5}+h_{8}}{2}=1600\) (※ \(h_{5}=h_{6}\)だから)
後は上のA式に数値を代入すると
4.実勢の成績係数(COP)R は?