p-h線図例題12 液ガス熱交換器

   

問題に入る前に液ガス熱交換器(フロン冷凍装置に使用)の目的は蒸発器を出る冷媒蒸気を適度に過熱させた湿り蒸気を吸込み、圧縮機が湿り圧縮または液圧縮を防ぎ、また凝縮器出口からの高圧液の過冷却度を大きくして、液管でのフラッシュガスの発生を防ぐことである。

問題下図に示す液ガス熱交換器付きのR410A冷凍装置が次の条件で運転されている。
ただし、圧縮機の機械的摩擦損失仕事は吐出しガスに熱として加わるものとする。また、配管での熱の出入りおよび圧力損失はないものとする。

【冷凍サイクルの運転条件】
圧縮機吸込み蒸気の比エンタルピー\(h_{1}\)=376 kJ/㎏
断熱圧縮後の圧縮機吐出しガスの比エンタルピー\(h_{2}\)=420  kJ/㎏
受液器出口の冷媒液の比エンタルピー\(h_{3}\)=240  kJ/㎏
膨張弁手前の冷媒液の比エンタルピー\(h_{4}\)=217 kJ/㎏
凝縮器の凝縮負荷\(Φ_{k}\)=180 kW
【圧縮機の効率】 
断熱効率\(η_{c}\)=0.70
機械効率\(η_{m}\)=0.85

1.冷凍能力\(Φ_{o}\)(kW)は ?

2.液ガス熱交換器での熱交換熱量\(Φ_{h}\)(kW) は?

3.この冷凍装置の実際の成績係数(COP)R は?


いつものように、p-h線図は次のようになる

1.冷凍能力\(Φ_{o}\)(kW)は ?

一般的に冷媒循環量(\(q_{mr}\))、冷凍能力\(Φ_{o}\)の関係式は
\(Φ_{o}=q_{mr}(h_{6}-h_{5})\) A式
冷凍能力\(Φ_{o}\)は縮負荷\(Φ_{k}\)が180kWなので次の通り計算
\(Φ_{k}=180=q_{mr}(\color{red}{h’}_{\color{red}{2}}-h_{3})\) B式
ここで\(h’_{2}\)は次の通り計算する

$$\color{red}{h’}_{\color{red}{2}}=h_{1}+\frac{h_{2}-h_{1}}{η_{c}・η_{m}}=376+\frac{420-376}{0.70・0.85}=449.949≒450[kJ/kg]$$

B式を変形して\(q_{mr}\)を求める

$$q_{mr}=\frac{180}{\color{red}{h’}_{\color{red}{2}}-h_{3}}=\frac{180}{450-240}=0.85714≒0.857 [kg/sec]$$

さて、次にA式で不明なものは\(h_{6}\)(\(h_{5}\)は\(h_{4}\)と同値)だから次のように液ガス熱交換器の熱収支を基に求める(ここで\(q_{mr}\)は省略)

$$h_{3}+h_{6}=h_{4}+h_{1}  h_{6}==h_{4}+h_{1}-h_{3}=217+376-240=353 [kJ/kg]$$

故にA式に判明した\(q_{mr}\)と\(h_{6}\)を代入すると

$$Φ_{o}=q_{mr}(h_{6}-h_{5})=q_{mr}(h_{6}-h_{4})=0.857×(353-217)=116.552≒117 [kW]$$

 

2.液ガス熱交換器での熱交換熱量\(Φ_{h}\)(kW) は?

熱交換熱量は\(h_{3}\)→\(h_{4}\) \(h_{1}\)→\(h_{6}\)いずれの増減量を使っても良いのて、とりあえず\(h_{3},h_{4}\)を使って求める

$$Φ_{h}=q_{mr}(h_{3}-h_{4})=0.857×(240-217)=19.711≒19.7 [kW]$$

3.この冷凍装置の実際の成績係数(COP)R は?

$$(COP)R=\frac{Φ_{o}}{P}=\frac{q_{mr}(h_{6}-h_{5})}{q_{mr}(h’_{2}-h_{1})}=\frac{h_{6}-h_{5}}{h’_{2}-h_{1}}=\frac{353-217}{450-376}=1.8378≒1.84$$

お疲れ様でした

やはり液ガス熱交換器の熱収支を利用します。

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