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例題7 R404A用の円筒胴圧力容器

   

問題】下記の仕様で製作された円筒胴圧力容器を、R404A用の高圧受液器として使用したい。これについて、次の問に答えよ。

仕様;
使用鋼板
円筒胴板の厚さ
円筒胴の外径
円筒胴板の溶接継手の効率
円筒胴板の腐れしろ


SM400B

\(t_{a}=13 ㎜\)
\(D_{o}=620 ㎜\)
\(η=0.7\)
\(α=1 ㎜\)

ただし、R404Aの基準凝縮温度における設計圧力は、次表の圧力を使用するものとする

基準凝縮温度(℃) 43 50 55 60 65
設計圧力(MPa) 1.86 2.21 2.48 2.78 3.11

(1) この受液器が使用できる最高の基準凝縮温度(℃)を求めよ。また、その基準凝縮温度を選択した理由を示せ。

(2) この受液器に基準凝縮温度50℃の設計圧力が作用したとき、円筒胴板に誘起される接線方向の引張応力\(σ_{t}  (N/㎜^{2})\)と長手方向の引張応力\(σ_{1}  (N/㎜^{2})\)はいくらか。


解答
(1) この受液器が使用できる最高の基準凝縮温度(℃)を求めよ。また、その基準凝縮温度を選択した理由を示せ。

許容圧力は限界圧力(最高使用圧力)である。限界圧力をPaとすると、限界圧力を求める基本式は次の通り。
\(P_{a}=\frac{2σ_{a}η(t_{a}-α)}{D_{i}+1.2(t_{a}-α)}\)から\(P_{a}\)を計算し、結果が上記表の設計圧力を超えない圧力に対応する基準凝縮温度が使用できる最高の基準凝縮温度
となる。また使用鋼板SM400Bの許容引張応力\(σ_{a}=100N/m^{2}\)とする。
ただし\(D_{i}\)は内径であることに注意する。\(D_{i}=620-13・2=594\)
さて、計算すると

\(P_{a}=\Large{\frac{2・100・0.7・(13-1)}{594+1.2(13-1)}}\)
=\(2.76MP_{a}\) (少数点以下3桁以降を切り下げ)

よって限界圧力\(P_{a}\)が2.76\(MP_{a}\)であるので、表より設計圧力2.48\(MP_{a}\)まで使用可能である。このときの基準凝縮温度は55 °Cである。

(2) この受液器に内圧として基準凝縮温度50℃における設計圧力が作用した場合に、円筒胴板に誘起される接線方向の引張応力\(σ_{t}  (N/㎜^{2})\)と長手方向の引張応力\(σ_{1}  (N/㎜^{2})\)はいくらか。
引張応力については次を参照

接線方向の引張応力\(σ_{t}\)と、長手方向の引張応力\(σ_{1}\)を求める基本式は、それぞれ次の通りである。
また、基準凝縮温度50℃における設計圧力は2.21MPaである。

\(σ_{t}=\Large{\frac{PD_{i}}{2t_{a}}=\frac{2.21・594}{2・13}}=50.5\)N/㎜2
\(σ_{1}=\Large{\frac{PD_{i}}{4t_{a}}=\frac{2.21・594}{4・13}}=25.3\)N/㎜2