1.登録制度
- フロン類の回収は「第一種フロン類回収業者」が行うことになっているが、法改正により、充塡行為を適正なものとするため、充塡業も含め都道府県の登録が必要となり、「第一種フロン類充塡回収業者」と名称が変更された。
- 登録基準は、旧法における第一種フロン類回収業者に関する規定から変更ありません。作業を行う都道府県毎の登録が必要です。
2.充塡・回収の委託義務
●法改正により、特定製品の整備に際して冷媒としてフロン類を充塡する必要があるときは、第一種フロン類充塡回収業者に委託しなければならなくなりました。
●店舗などにおいて、自社所有の機器に充塡する場合であっても、第一種フロン類充塡回収業者の登録を行った事業者でないと充塡することができません。
3.充塡に関する基準
3.1 冷媒漏えい状況の確認
①充塡前に記録簿や漏えいの有無の確認
②点検や修理の有無の確認
3.2 漏えい確認時における説明及び充塡前の修理等
①漏えいや故障を確認し、修理をしていなければ点検・修理等の必要性の説明
②点検を実施し、修理が確認できるまで、充塡の禁止 (繰り返し充填の禁止)(やむを得ない場合を除く)
やむを得ない場合とは
1.フロン類の漏えい箇所を特定又は修理を行うことが著しく困難な場所に漏えいが生じている場合
◆ 壁、床、柱の内部に設置された配管からの漏えいにより、修理するには建物の構造に大がかりな変更(解体)が必要な場合
2.人の健康を損なう事態又は事業への著しい損害が生じないよう、環境衛生上必要な空気環境の調整、被冷却物の衛生管理又は事業の継続のために修理を行わずに応急的にフロン類を充塡することが必要であり、かつ、漏えいを確認した日から60日以内に漏えい箇所の修理を行うことが確実なときは、点検・修理を行う前に1回に限り充塡を委託することができる。
◆病院のICUや手術室等空調機器であり、人の生命に危険が及ぶ場合
◆24時間営業店であり、短期的に修理が困難であるため、やむを得ず冷媒充塡を行い、閑散期や深夜帯等に点検・修理を行う場合
◆夏期における空調設備からの漏えいであって、従業員の健康を維持するため、営業時間終了後に点検・修理を行う場合
◆商品の保存・管理のためにやむを得ず冷媒充塡を行い、営業時間終了後に点検・修理を行う場合
3.3 充塡する冷媒の確認(機器に充塡されている冷媒の確認)
①機器の銘板、取説等に表示されている冷媒
②当該フロンよりGWP値が低く、管理者の承諾と機器メーカーが認めた冷媒 (指定冷媒以外の充塡の禁止)
3.4 充塡中及び充塡後の漏えい防止等
①充塡中は漏えいしないように気を付ける(過充塡防止等)
3.5 機器・充塡に係る十分な知見
①十分な知見を有する者が自ら充塡又は立ち会うこと
十分な知見を有する者とは
A.冷媒フロン類取扱技術者 |
B.一定の資格を有し、かつ、点検に必要となる知識等の習得を伴う講習を受講した者 |
一定の資格 : |
冷凍空調技士 |
高圧ガス製造保安責任者(冷凍機械)(冷凍機械以外であって第一種特定製品 の製造又は管理に関する業務に5年以上従事した者 |
冷凍空気調和機器施工技能士 |
高圧ガス保安協会冷凍空調施設工事事業所の保安管理者 |
自動車電気装置整備士(自動車に搭載された第一種特定製品に限る) |
C.十分な実務経験を有し、かつ、点検に必要とされる知識等の習得を伴う講習を受講した者 |
(十分な実務経験:日常的に冷凍空調機器の整備や点検に3年以上携わってきた技術者で あって、これまで高圧ガス保安法やフロン回収・破壊法を遵守し、違反がない技術者) |
4.回収に関する基準
◆ 第一種特定製品に充塡されているフロン類の圧力、充塡量に応じて、冷媒回収口の圧力が所定の圧力以下になるまで吸引すること。
◆ ただし、一定時間経過した後、下記の表に掲げるフロン類の圧力区分に応じ、同表に掲げる圧力以下になるよう吸引すること。
◆ 十分な知見を有する者が自ら実施するか、立ち会うこと。
フロン類の圧力区分 | 圧 力 | ゲージ圧力(参考) |
低圧ガス(常用の温度での圧力が0.3MPa未満のもの) | 0.03MPa | -0.07MPa |
高圧ガス(常用の温度での圧力が0.3MPa以上2MPa未満であって、 フロン類の充塡量が2㎏未満のもの) |
0.1MPa | 0 MPa |
高圧ガス(常用の温度での圧力が0.3MPa以上2MPa未満であって、 フロン類の充塡量が2㎏以上のもの) |
0.09MPa | -0.01MPa |
高圧ガス(常用の温度での圧力が2MPa以上のもの) | 0.1MPa | 0 MPa |
5.引き渡し義務
◆ 第一種フロン類充塡回収業者は、回収したフロン類について、下記の処理の何れ かをしなければならない。
回収した機器へ再充塡する。 | |
自ら再生する。(自ら充塡する場合に限る。法50条のただし書き) | |
第一種フロン類再生業者に引き渡す。 | |
フロン類破壊業者に引き渡す。 | |
省令49条業者(都道府県知事認定のセンター等)に引き渡す。 |
6.記録の作成と報告
充填回収業者は、充塡量及び回収量等の記録を作成し、業務を行う事業所に保存す るとともに、管理者や整備者から閲覧の申出があった場合、これに応じることとされてい る。また、毎年度の充塡量及び回収量等を都道府県知事に報告しなければなりません。
① 充塡量等
充塡した年月日、管理者及び整備者の名称・住所、機器の種類と台数、設置又 は整備の別、フロン類の種類と充塡量
② 回収量等
整備又は廃棄の別、回収した年月日、管理者、整備者又は廃棄者の名称・住所、 機器の種類と台数、フロン類の種類と回収量
③ 再生量等
自ら再生した年月日・種類と量、再生したフロン類を充塡した年月日、充塡に係 る管理者及び整備者の名称・住所、再生したフロン類の種類と台数
④ 第一種フロン類再生業者への引渡量等 引き渡した年月日、再生業者の名称・住所、引き渡したフロン類の種類と量
⑤ フロン類破壊業者への引渡量等 引き渡した年月日、破壊業者の名称・住所、引き渡したフロン類の種類と量
⑥ 省令49条業者への引渡量等 引き渡した年月日、業者の名称・住所、引き渡したフロン類の種類と量
記録参考様式
都道府県への報告書様式
毎年度終了後、5月15日までに、都道府県へ報告