業務用エアコンエラーコード専用サイトを開設しました 資料ダウンロードサイトはこちら

p-h線図例題7 二段圧縮一段膨張

   

問題R404Aを冷媒とする二段圧縮一段膨張の冷凍装置を、下記の冷凍サイクルの運転条件で運転する。この冷凍装置の冷凍能力が150kWである。
ただし、圧縮機の損失、配管での熱の出入りおよび圧力損失はないものとする。

【理論冷凍サイクルの運転条件】  
低段圧縮機吸込み蒸気の比エンタルピー \(h_{1}\)=358 kJ/㎏
低段圧縮機の断熱圧縮後の吐出しガスの比エンタルピー \(h_{2}\)=378 kJ/㎏
高段圧縮機吸込み蒸気の比エンタルピー \(h_{3}\)=366 kJ/㎏
高段圧縮機の断熱圧縮後の吐出しガスの比エンタルピー \(h_{4}\)=390 kJ/㎏
中間冷却器用膨張弁直前の液の比エンタルピー \(h_{5}\)=240 kJ/㎏
蒸発器用膨張弁直前の液の比エンタルピー \(h_{7}\)=205 kJ/㎏

1.高段の凝縮圧力\(P_{k}\)が1.80MPa、低段の蒸発圧力\(P_{o}\)が0.20MPaであったとき、成績係数が実用上ほほ最大となり、最も適正な運転となる中間圧力\(P_{m}\)(MPa)?。ただし、圧力は絶対圧力とする。

2.中間冷却器へのバイパス冷媒循環量\(q’_{mro}\)(kg/sec)と低段側の冷媒循環量\(q_{mro}\)(kg/sec)との比 \(q’_{mro}/q_{mro}\) は。?

3.高段側の冷媒循環量\(q_{mrk}\)(kg/sec)は ?

4.成績係数(COP)\(th・R\)は ?


まず、p-h線図と機器相互の冷媒の流れ概略図を次のように書く

1.高段の凝縮圧力が1.80MPa、低段の蒸発圧力\(P_{o}\)が0.20MPaであったとき、成績係数が実用上ほほ最大となり、最も適正な運転となる中間圧力\(P_{m}\)(MPa)?。ただし、圧力は絶対圧力とする。

「成績係数が実用上ほほ最大となり、最も適正な運転となる中間圧力」これはいろいろなテキストに説明があると思いますが、「高段、低段の圧力比を同等にする」という説明が多いと思います。
高段、低段の圧力比とは今の場合
$$\frac{P_{k}}{P_{m}}=\frac{P_{m}}{P_{o}}$$
変形すると

$$P^2_{m}=P_{o}・P_{k}  P_{m}=\sqrt{P_{o}・P_{k}}$$

数値を代入すると \(P_{m}=\sqrt{1.8・0.2}=0.6 [MPa]\)

2.中間冷却器へのバイパス冷媒循環量\(q’_{mro}\)(kg/sec)と低段側の冷媒循環量\(q_{mro}\)(kg/sec)との比 \(q’_{mro}/q_{mro}\) は。?

中間冷却器の熱収支を考えます(熱収支ですから入るもの、出るもの)

$$h_{5}(q_{mrk}-q’_{mro})+h_{5}・q’_{mro}+h_{2}・q_{mro}=h_{3}・q_{mrk}+h_{7}・q_{mro}$$

$$q_{mrk}=q_{mro}+q’_{mro} だから$$

$$h_{5}・q_{mro}+h_{5}・q’_{mro}+h_{2}・q_{mro}=h_{3}・(q_{mro}+q’_{mro})+h_{7}・q_{mro}$$

またまた変形して {***}×\(q’_{mro}\)={###}×\(q_{mro}\) の形に整理すると

$$((h_{5}-h_{7})+(h_{2}-h_{3}))・q_{mro}=(h_{3}-h_{5})・q’_{mro}$$

下のように変形して数値を代入すると

$$\frac{q’_{mro}}{q_{mro}}=\frac{(h_{5}-h_{7})+(h_{2}-h_{3})}{h_{3}-h_{5}}≒0.373$$

 

この問題の解説は次の「上級冷凍受験テキスト」を参考にしました

3.高段側の冷媒循環量\(q_{mrk}\)(kg/sec)は ?

\(q_{mrk}=q_{mro}+q’_{mro}\) だから、前問の解答から次のように変形できる
$$q_{mrk}=q_{mro}+0.373・q_{mro}$$
次に冷却能力が判っているので次の式から\(q_{mro}\)を求める
$$Φ_{o}=q_{mro}(h_{1}-h_{8})$$$$q_{mro}=\frac{Φ_{o}}{h_{1}-h_{8}}$$

$$すなわち q_{mrk}=1.373・\frac{Φ_{o}}{h_{1}-h_{8}}=1.373×\frac{150}{358-205}≒1.346[㎏/sec]$$

4.成績係数(COP)\(th・R\)は ?

この問題は簡単ですので式だけ示しておきます。ご自身で数値を代入してください
$$(COP)th・R=\frac{Φ_{o}}{P}$$

$$ここで P=P_{L}+P_{H}$$

$$また P_{L}=q_{mro}(h_{2}-h_{1})  P_{H}=q_{mrk}(h_{4}-h_{3})$$

 

以上で終わり