鋼管配管の設計

1.鋼管配管の設計

1.1 鋼管の仕様

鋼管配管系の設計施工に際しての基本的事項は、冷媒の種類、温度、圧力によって最適な材料選定を行い、配管施工中に侵入する空気、水分、塵埃等の除去について十分な考慮をし、また、冷凍装置では冷媒と共に冷凍機油が配管系統内を循環していることから、それに対して十分に留意し、振動、音響および支持等も考慮して設計施工することが重要である。冷凍装置に使用される鋼管配管系の仕様は法的には銅管と同様に、「高圧ガス保安法」、「冷凍保安規則」、「冷凍保安規則関係例示基準」に定められた技術上の基準に従う必要がある。

(1) 冷媒設備に用いる材料
冷媒設備に用いられる配管材料等については,耐圧性能を阻害する原因を除くための規制があり,「冷凍保安規則関係例示基準」の「冷媒設備に用いる材料」に示されている。「材料一般」、「材料の使用範囲」に基づく。。

(2) 材料一般
1) 材料は,表面に使用上有害な傷,打こん,腐食等の欠陥がないものであること。
2) 材料は,冷媒ガス,吸収溶液,潤滑油又はこれらの混合物の作用によって劣化しないものであること。
3) 冷媒ガス,吸収溶液及び被冷却物に接する部分の材料は,冷媒ガスの種類に応じ,次に示すものを使用してはならない。

a)アンモニアに対しては銅及び銅合金。但し,圧縮機の軸受又はこれらに類する部分であって,常時油膜に覆われ,液化アンモニアに直接接触することがない部分には,青銅類を使用することができる。
b)クロルメチルに対してはアルミニウム及びアルミニウム合金
c)フロンに対しては2%を超えるマグネシウムを含有したアルミニウム合金

4) 常時水に触れる部分には,純度が99.7%未満のアルミニウム(適切な耐食処理を施したものを除く。) を使用してはならない。5) 耐圧部分(内面または外面に0MPaを超える圧力を受ける部分をいう。以下同じ。) に使用する材料は,次に掲げる日本工業規格に適合するもの及びこれらの材料以外の材料であって,「特定設備検査規則の機能性基準について」に係る「別添1 特定設備の技術基準の解釈」の第4条第1項に掲げるもの(以下規格材料という。),これと同等以上の材料として同条第2項に定めるもの(「同等材料」という。)又は同条第3項に定めるもの(「特定材料」という。)を使用しなければならない。化学的成分および機械的性質を有するものでなければならない。

(3)材料の使用範囲

「冷凍保安規則関係例示基準」により冷媒設備のうち,容器,配管又は弁の耐圧部分に使用する材料の使用範囲は,次の通り。

耐圧部分に使用する材料の最低使用温度(例示基準)

冷媒配管に用いる炭素鋼及び鋳鉄品の使用制限(例示基準)

冷媒配管用炭素鋼鋼管の各温度における許容引張応力(例示基準)

冷媒配管用ステンレス鋼管の各温度における許容引張応力(例示基準)

1.2 管継手の仕様

1.2.1 ねじ継手

鋼管のねじ継手に関する基準はJIS B0203(管用テーパねじ)に定められている。ねじ継手の場合、ねじ山同士の密着だけでは冷媒漏洩を完全に防止することが不可能であるから、必ずシールテープを使用すること。

鋼管用ねじ継手の最小ねじ込み長さ

管の
呼び
810152025324050658090100
1/43/81/23/4111/411/2221/2331/24
ねじ込む山数666666688101012
ねじ込む最小
長さ mm
8811111414141818232328

 (1) シールテープの巻き方の留意事項

1) シールテープはネジ山からの冷媒や油の漏洩を防ぐために巻き付けるものである。
ネジ山は右回り(時計回り)で締められるため、シールテープも同方向で巻くこと。
シールテープを逆方向(反時計回り)に巻いてしまうと、締め込んだ時に緩んで外れてしまい、漏洩の原因となるので注意を要する。 

2) ネジ山の先端を2山程残した位置に巻き付ける。先端部分にまで巻き付けてしまうと、締め込んだときにテープの切れ端が配管系統内部に入ってしまい、詰まりの原因になる恐れがあるので注意を要する。

3)ねじ継手等を取り替える際は、必ずシールテープも取り替えること。 その際は、ネジ山に付いたシールの残渣などのゴミも完全に取り除いてから新しいシールテープを巻くこと。

(2)ねじ込み式管継手

鋼管冷媒配管即ち配管用炭素鋼鋼管(JIS G 3452)に取り付けるねじ式管継手(エルボ、ティー、レジューサ等)は、JIS B 2301「ねじ込み式可鍛鋳鉄製管継手」に規定されている製品を用いること。接続ねじ部は、JIS B0203(管用テーパねじ)の規定に従う。

ねじ込み式管継手の端部
ねじ込み式管継手(エルボ、45°エルボ、ティー(T)、クロス)
ねじ込み式管継手(径違いティー(T))

ねじ込み式管継手(径違いめすおすティー(T))

ねじ込み式管継手(偏心径違いティー(T))
ねじ込み式管継手(90°Y、45°Y、径違い90°Y)
ねじ込み式管継手(径違いエルボ、径違いクロス)
ねじ込み式管継手(ソケット、径違いソケット、偏心径違いソケット)

1.2.2 フランジ継手

鋼管の冷媒配管に使用するフランジ継手は、JIS B 8602「冷媒用管フランジ」と、JISB 2220「鋼製溶接式管フランジ」に大別される。前者は冷凍装置及びヒートポンプ装置に適用され、後者は蒸気・空気・ガス・水・油等の一般及びプラント配管等に適用される。
冷媒配管としては上記の両規格(JIS B 8602「冷媒用管フランジ」, JIS B 2220「鋼製溶接式管フランジ」)のいずれかで製作された製品を使用しなければならない。フランジ継手を使用する場合は、片締めにならないように、ボルトが対角線上を均一に締結してゆく必要がある。片締めになった場合、フランジ締結部から冷媒漏洩する恐れがあるため、施工に際しては十分に注意を要する。

(1)冷媒用管フランジ:JIS B 8602

適用範囲、引用規格、種類、形状及び寸法、材料及び加工、外観、検査、表示、解説等については、JIS B 8602「冷媒用管フランジ」にて確認すること。
冷媒用管フランジの詳細形状や寸法に関しては、JIS B 8602「冷媒用管フランジ」を参照のこと。

鋼製フランジの種類と最高使用圧力

(2)鋼製溶接式管フランジ:JIS B 2220

(1)適用範囲
蒸気・空気・ガス・水・油などの一般配管にしようする鋼管を接続するフランジで、基準寸法がJIS B 2210(鉄鋼製管フランジの基準寸法)による呼び圧力5~30 Kのフランジについて規定する。なお、冷媒配管に使用する際は、フランジ面が溝型加工をされた製品を使用することが望ましい。
(2)種類  
下表A、下表Bのとおりとする。

表A.形状による種類及びその記号
表B.亜鉛めっきの有無による種類及びその記号

(3)流体の状態と最高使用圧力との関係  下表Cのとおり

表C.流体の状態と最高使用圧力との関係

(4)材料  下表Dのとおりで、溶接に適した材料とする。

表D.材料

1.2.3 溶接継手

溶接継手は配管を永久的に接合するため、漏洩が絶対に許されない極めて信頼性を要する施工方法である。鋼管の溶接には、一般的に「被覆アーク溶接」、「ティグ溶接」が用いられるが、鋼管・継手・溶接棒の品質ならびに溶接部端面加工には、化学成分、内質、強度、靭性、寸法精度、端面仕上げ等、高度な品質が要求される。
鋼管製冷媒配管継手の溶接においては、次に挙げるJISに規定された製品を使用すること。

JIS B 2311  一般配管用鋼製突合せ溶接式管継手
JIS B 2312  配管用鋼製突合せ溶接式管継手
JIS B 2313  配管用鋼板製突合せ溶接式管継手
JIS B 2316  配管用鋼製差込み溶接式管継手

突合せ溶接時に配管同士を接合する場合、両配管の端面は、溶接棒と配管母材が完全に溶融して強度的に同等となるようにするため、所定の口径(呼び径65A)以上で、配管肉厚が4mm以上の場合には、鋼管の切断端面は開先加工機を使用してV型突合せ溶接のための開先加工を実施する。施工時に接合箇所には錆・油分・塗料・スケール等の溶接に有害な影響を及ぼす付着物が無いように、清浄な状態にしておくことが重要である

(1)鋼管のV型突合せ溶接

(開先加工要領)
①管厚さ4mm以上は開先加工機を使用し、4mm未満はグラインダで開先加工を行う。
②亜鉛鍍金鋼管の溶接部はベルトサンダなどで亜鉛を削りとる。
③加工後切削油分を除去する。

 下図は一例であるが、開先加工機には工作機械型の固定型など多くの種類がある。

EXAMPLE

手動型開先加工機による端面加工
開先加工機の外観と作業例
大口径配管の開先加工の作業例
固定型開先加工機外観と作業例

開先加工後は、角度定規を用いて、所定の開先角度に加工が出来たか否かを確認する。 鋼管に於けるV型突合せ溶接の一般的な開先加工寸法は下記。
配管溶接を行った後、その接合部の品質を判定しなければならないが、基本的には次のような判定基準で良否を判断する。

溶接終了後の判定基準

①外観検査(目視検査)
●ビートの曲がりが少ない事。
●ビートの溶接線からの位置がずれていない事。
●ピットやスラグ巻き込みが少ない事。
●ピンホールやブローホールなどの欠陥が観られない事

②気密試験
窒素等による気密試験を行い、漏洩が無い事。(溶接個所全数)

(2) 鋼製溶接式管継手

適用範囲種類耐圧性
一般配管用鋼製突合せ溶接
式管継手: JIS B 2311
配管用炭素鋼鋼管(JIS G 3452)及び
配管用アーク溶接炭素鋼鋼管(JIS G
3457)に取り付ける管継手
材料・形状・寸法・寸法許容差・
質量はJIS B 2311を参照のこと
対応する鋼管に等しい

 

適用範囲種類耐圧性
配管用鋼製突合せ溶接式
管継手: JIS B 2312
圧力配管、高圧配管、高温配管、合
金鋼配管、ステンレス鋼配管及び低
温配管に使用する継目無管継手
形状・寸法・寸法許容差・質量
はJIS B 2312を参照のこと
対応する鋼管に等しい

 

適用範囲種類耐圧性
配管用鋼板製突合せ溶接式
管継手: JIS B 2313
圧力配管、高圧配管、高温配管、
合金鋼配管、ステンレス鋼配管
及び低温配管に使用する長手継
手を持つ管継手
形状・寸法・寸法許容差・質量
はJIS B 2313を参照のこと
対応する鋼管に等しい
配管用鋼製差込み溶接式管
継手: JIS B 2316
圧力配管、高圧配管、高温配管、
合金鋼配管、ステンレス鋼配管
及び低温配管に使用する継目無
管継手
形状・寸法・寸法許容差・質量
はJIS B 2316を参照のこと
対応する鋼管に等しい

1.2.4 ユニオン継手

ゲージ配管等の継手として口径が6~12mm程度の範囲で使用されるものである。
鋼管で使用する場合、炭素鋼製の喰い込み式を使用する。喰い込み式ユニオン継手は非常に気密性が高いので、取り付け作業時に適切なねじ込みを行っていれば漏洩の恐れは低い。
近年は更に気密性を向上させたシール内蔵型のものも市販されている。 

【各種喰い込み式ユニオン継手】

ユニオンコネクタ
エルボエルボニップル
ティーナット

1.2.5 可撓管

振動の伝達を防止するために圧縮機の吸入管,吐出管やユニットの接続配管に、可撓管を取り付ける場合,通常はステンレス鋼製を使用する。検査要領としては,冷凍保安規則関係例示基準23.11.4により設計圧力の1.2倍以上の圧力で気密試験を行ない,漏れ,異常な変形がなく,極端に大きなひずみが残留しないことが条件となる。管の呼び径が50mmを超える管に使用する場合はフランジ継手を使用し、取外しできる構造とする。

可撓管を防熱する場合の注意
①冷凍機吸入止弁に直接取付ける場合防熱を施さない方が良い。防熱施工不良により防熱層内で結氷し可撓管を破損した事例がある。
②配管部分の可撓管を防熱する場合は可撓管と防熱材の隙間を無くし氷結スペースを作らないこと。

鋼管の場合
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