3.低圧部の保守管理
3.1 蒸発器
乾式 | 満液式 | ||
乾式空気冷却器 | 乾式シェルアンド チューブ式 |
満液式シェルアンド チューブ式 |
|
入口冷媒状態 | 湿り蒸気 | 湿り蒸気 | 飽和液 |
出口冷媒状態 | 乾き又は過熱 | 乾き又は過熱 | 乾き又は過熱 |
制御方式 | 温度式自動膨張弁 | 温度式自動膨張弁 | 液面制御 |
冷媒充填量比較 | 小 | 中 | 大 |
熱通過率比較 | 小 | 中 | 大 |
3.2 液戻り
液戻り原因 | 防止対策 |
乾式蒸発器に多量の冷媒液が残留したままで、 再始動した場合、多量の液が戻る。 |
運転停止時、蒸発器内に冷媒液が残留しないよう、 ポンプダウン停止、又はポンプダウン始動とする こと。 |
運転停止中に、吸込み配管途中のトラップに冷媒 蒸気が凝縮したり液状で溜まったりしているときに、 圧縮機始動時に液が戻る。 |
吸込み配管の途中にトラップが無いように、配管 施工する。始動時には、手動始動の場合は圧縮機 の吸込み弁は徐々に開く。 |
乾式蒸発器で膨張弁が追従できないほど負荷の変動 が大きい。 |
負荷の急激な変動をなくす。急激な変動が避けら れない装置では圧縮機吸込み配管に液分離器を設 ける。 |
膨張弁又は液面制御装置の選定不良、誤操作又は 故障の場合、液が戻る。 |
膨張弁、液面制御装置の点検、調整をし、必要に 応じて液分離器を設ける。フルオロカーボン冷凍 装置では液ガス熱交換器を設ける。 |
3.3 膨張弁感温筒取り付け不良防止
4.冷媒系統への不純物混入防止
4.1 水分混入防止
水分浸入経路 | 防止対策 |
新設又は修理工事中、配管等に残った水分。 | 施工時残留する水分に注意し十分に真空乾燥する |
気密試験を空気圧縮機を使って実施した時、 大気中の水分が空気とともに系統内に浸入する。 |
よく乾燥した不燃性ガス(炭酸ガス、窒素ガス等) を使用する。空気を使用する時には十分冷却し、 ドレンを排除して乾燥した空気を供給する。真空 乾燥を十分に行う。真空乾燥は周囲の温度が7℃ 以上のときに行うこと。 |
冷媒の中に水分が含まれている。 | 冷媒充填の時ドライヤを通して充填する。 |
冷凍機油の中に水分が含まれている | 油の取り扱いに注意する。外気に極力接触させ ないようにする |
吸込み圧力が真空になった時、空気とともに 侵入する。 |
漏洩箇所を修理し、できれば真空運転しないよう 運転を調整する。 |
分解、点検の時侵入する空気中に水分を含む | 開放した系統を復旧する時エアパージを確実に 実施し、その部分の大きい時には真空ポンプを 用いて空気をパージする。 |
4.2 HFC冷媒への注意事項
鉱油(R22用の冷凍機油等)や、部品加工時の切削油、防錆油は、スラッジになった際HFC冷媒には溶解せず、系内に残留する。HFC冷媒系統の保守、点検の際はゲージマニホールド、チャージホース、圧力計、等はHFC専用とし、鉱油やCFC、HFC冷媒が混入しないよう配慮が必要である。
4.3 ガス漏れ検知時の注意点
冷媒 | 検知するガス成分 | 検知器の種類 |
CFC | 塩素 | 塩素検知式ガス検知器 |
HCFC | 塩素 | 塩素検知式ガス検知器 |
HFC | 水素 | 水素検知式ガス検知器 |
4.4 HFC混合冷媒の取り扱い
混合冷媒には、その混合状態により非共沸混合冷媒と共沸混合冷媒がある。共沸混合冷媒は、混合冷媒であるが気液両相の組成が同じになり、単一冷媒と同様の挙動をする。共沸混合冷媒は何回蒸発しても液と同じ組成の蒸気が発生するので、冷凍機の中で冷媒を循環させても組成変化が起こらず、単一冷媒と同様に扱うことが出来る。
一方、非共沸混合冷媒の場合は、気液両相において組成が大きく異なる。この気相における大きな組成変化は、蒸発や凝縮の相変化を繰り返す冷凍機や空調機においては注意が必要となる。特に冷媒の漏洩がある場合は、気相又は液相の漏洩に伴い冷凍機や空調機内の冷媒組成が変化する。
非共沸混合冷媒を容器から冷凍機に充填する際、組成が大きく変化し所定の冷却能力を確保できない場合がある。